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ココリコ坂から 第5話

「あっ!!」

僕は思わず叫んでしまった。
クラス中の視線が僕に集中した。

「どうした?知り合いか?」

先生が聞いた。

「いえ…すみません。」

僕は口ごもりながら頷いた。
彼は気づいているのだろうか?

「それじゃあ、自己紹介頼むよ。」

「わかりました。」

そういって彼は黒板に名前を書き始めた。

谷生宗次。

「タニオリュウジといいます。皆さんよろしくお願いします。」

とてもよく通る透き通った声をしていた。
一度聞いただけで、もう忘れられない。そんな自己紹介だった。
よくみると何人かの女子は頬を赤らめ谷生を眺めていた。


ようやく彼と巡り会えた。
友達になりたい。
だけど僕はいじめられっこの陰キャラ。
彼は早くも人気者の気配。
僕はどうすればいいんだ?


彼の席は窓側の一番後ろだった。
真ん中の方に座っている僕とは若干距離があった。
彼の周りには、すでにたくさんのクラスメイトが集まっていて
僕が話しかける隙間はなかった。
彼に早速友達が出来たのは僕にとっても嬉しいことだった。
しかし、この気持ちは何だろう…。
少し、寂しいというのが本音なのかもしれない。
今はまだ、はっきりしない感じだ。


そんなことより、一つ気になることがあった。
それは僕がまだココリコ坂を登りきっていないということだ。
本来、この坂を登りきらなければ、彼に会うことは出来ない。
そのはずだった。
むしろ自分がそれを目標にしていた。
そうでなければ…僕はまた彼に甘えてしまう。


僕は自分の力で変わらなければならない。
そして、その変わった姿を彼に見せたかった。


それなのに、彼は今……僕のすぐ近くにいる。


それが一番気がかりなことだった。
今までのことが、一体何だったのかわからなくなる。
ココリコ坂とは何だったのか。
この坂と彼は、僕に何を伝えたかったのか…。

それが僕にはわからない…。






続く
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17 : 47 : 42 | 小説 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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